使用してない不動産は賃貸に出すべき?空き家賃貸の手順と注意点を公開します

親からの相続などの理由で、空き家を所有している人は少なくありません。空き家はそのまま放置していると、事件や事故などの発生原因となるリスクがあります。そのため、空き家の所有者の中には、不動産を賃貸に出して有効活用しようと考える人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、空き家を賃貸に出す際の手続きの流れや注意点について解説していきます。

1、使用していない不動産は賃貸に出すのがお勧め

不動産は使用していなくても所有しているだけで固定資産税が発生します。固定資産税は、毎年1月1日の所有者に対して課税される税金です。土地と建物両方を所有している場合は、双方に税金が課されます。使っていない空き家を所有している人は、有効活用の方法として、賃貸物件として人に貸し出すのがお勧めです。ここでは空き家を賃貸に出すことのメリットを解説していきます。

(1)空き家を賃貸に出すのが何故お勧めなのか

空き家の活用方法には様々な方法があります。もちろん、人によって状況は異なるので、全ての人が空き家を賃貸に出すのが向いているとは限りませんが、多くの方は空き家を賃貸に出すことでメリットが得られます。

空き家を賃貸物件として活用すると、不労所得を得られるだけでなく、節税対策にも繋がるというメリットがあります。税金や維持管理費などの支出しか発生しなかった不動産が、家賃収入を生み出します。さらに、賃貸経営業を行うと、管理費などを経費計上することが可能となります。また、次の相続を考えると、賃貸物件所有は相続税評価額の圧縮効果も期待できます。

(2)空き家を空き家のままにしておくとどうなる?

空き家を放置すると、様々なトラブルの原因になります。特に、自宅から遠方地に空き家がある場合などは要注意です。空き家を放置することで考えられるデメリットは以下の通りです。

・建物の損傷を早める
・固定資産税や管理費などの無駄な支出を増やす
・犯罪や事件などに使用されるリスク
・近隣住民からのクレームが発生する
・行政から指導がくる可能性もある

このように、空き家の放置はマイナスの要素しか生みません。空き家を所有している人は、早急に空き家対策を検討することをお勧めします。

(3)売却や土地活用よりも空き家賃貸が優れている点は?

空き家活用の種類は、賃貸に出すことだけではありません。他の方法として、空き家の売却、再建築して有効活用などが考えれられます。ただし、それぞれの方法にはデメリットもあるので注意が必要です。

売却は、現金化はできるもの資産を失ってしまいます。また、適切な売り時を見極めるのは簡単ではありません。それから、先祖が大切に残してきた不動産を処分するのは気がひける、他の親族の目が気になる、という方も多いのではないでしょうか。

土地の有効活用は、事業規模のスケールが大きくなります。物件を解体して再建築する場合は、費用も時間も膨大にかかります。金融機関から多額の借金をすることになるので、軽はずみに始めるべきではありません。

その点、空き家の賃貸であれば、資産を残しつつ、土地活用よりも少額でスタートすることができるためお勧めです。

2、空き家を賃貸に出す際の注意点は?

空き家を賃貸に出すのは、売却や土地有効活用とは異なり、小規模な初期投資で手軽に始められるメリットがあります。しかし、注意点もあります。特に、初めて賃貸経営をする方は、起こりうるリスクや注意点をしっかり把握してスタートしましょう。

ここでは、空き家を賃貸に出す際に問題になりがちな注意点を解説していきます。

(1)権利関係を事前に調査しよう

権利関係とは、文字通り不動産に関する権利のことです。相続で不動産を取得した場合に特に注意が必要なのは、不動産の「所有権者」が誰かという点です。相続で不動産を取得した場合は、共有名義で不動産を所有しているケースがあります。つまり、所有者が複数いる状態です。

また、相続登記が済んでいないため、謄本上の所有者が前の持ち主のままになっているケースもあります。このような状態で空き家を賃貸に出すと、他の相続人や賃借人との間にトラブルが発生する可能性もあるので十分に注意してください。

(2)自主管理か委託管理かを選択する

空き家を賃貸に出したあと、管理を自分でするか管理会社に委託するかの選択をします。自分で管理をすると、管理会社に管理料を支払う必要がないので、入居者からの賃料を全て受け取ることができます。しかし、入居中のトラブルやクレームについては、自分で全て対応する必要があります。

一方、管理会社に管理を委託すると毎月管理料を支払います。管理料の相場は3%から5%程度です。管理会社に委託すると、入居者対応や更新事務、解約清算などを代行してもらえるので非常に便利です。

(3)適切な管理会社を選択する

管理会社に管理を委託すると管理料はかかりますが、様々な業務から解放されるので、賃貸人(オーナー)にはメリットが大きいです。しかし、適切な管理会社を選ばないと賃貸経営が失敗してしまいます。いい加減な仕事をする管理会社に依頼すると、入居者募集や入居者対応、事務手続きなどに問題が生じ、所有者には多大な不利益を被ります。

そのため、管理会社の選定には細心の注意を払うべきでしょう。

管理会社の見分け方や、問題がある場合の対処法はこちらの記事で記載していますので、参考にしてください。

3、実践!実際に空き家を賃貸に出す手順を解説します

これまで不動産投資や賃貸経営の経験がない方は、空き家を賃貸出すと言っても何から始めればいいか分からないと思うかもしれません。実際に空き家を賃貸に出す際の手順を記載しました。初めて人に空き家を賃貸に出す人は参考にしてみてください。

(1)空き家の権利関係を調べる

空き家を貸し出す際の注意点でも記載しましたが、後々のトラブルを回避するために、まずは空き家の権利関係を調べます。所有権者、抵当権者などは、法務局で登記簿謄本を取得すれば確認できます。登記簿謄本は利害関係者だけでなく、誰でも取得できます。また、司法書士や一部の不動産会社も権利関係の確認を行えますので、専門家への依頼も効果的です。

(2)仲介会社または管理会社を探す

物件を貸し出す準備が整ったら、仲介会社または管理会社を探します。家から近いから、付き合いがあるから、という理由ではなく、空き家の賃貸を行なっている会社を選びましょう。ベストなのは、対象不動産の近くに会社があり、空き家の賃貸仲介について実績がある会社です。会社の探し方はホームページやインターネットの口コミなどでも探すことはできます。

心配な方は、不動産会社の選定について不動産コンサルティング会社に相談してみましょう。ベストな不動産会社をピックアップしてもらうことができます。

(3)不動産会社に入居者募集を依頼する

不動産会社が決まったら、入居者募集を依頼します。このとき、依頼する業務が仲介だけなのか、その後の管理も依頼するのかによって、不動産会社と結ぶ契約の種類が異なります。

賃借人が決まって賃貸借契約が成立したら、不動産会社に仲介手数料を支払います。このとき支払う仲介手数料は、家賃1ヶ月分が上限です。仲介手数料は、賃借人または賃貸人のどちらか、または両者が半分ずつを不動産会社に支払います。トラブルを未然に防ぐために、手数料の支払い割合は事前に決めておくと良いでしょう。

(4)賃貸借契約の成立、賃貸経営開始

無事に賃貸借契約が成立したら、いよいよ賃貸経営のスタートです。管理会社に頼らず自主管理を行う場合は、入居中の入居者からの修繕依頼や、クレームなども全て自分で対応する必要があります。また、更新や解約業務も自分で行うことになります。しかし、更新や解約業務だけスポット的に受託する不動産会社もいるので、活用を検討してみても良いでしょう。

管理会社に管理を委託する場合は、賃貸借契約が成立したあとは、管理会社が管理業務を全て行ってくれます。賃貸人が行うのは、管理会社から送金された家賃と送金明細を確認し、間違いがないかのチェックです。設備交換や建物の補修工事などについては、管理会社が手配しますが、実施するかの判断は賃貸人が行いますので、管理会社と打ち合わせながら進めていきましょう。

まとめ

空き家の放置は、事件や事故など様々なトラブルの原因になります。空き家賃貸、売買、再建築による有効活用など、対策を実施しましょう。今回の記事では空き家賃貸について解説しました。空き家の状態によって、リフォームをした方がいい場合があります。また、事前の相場調査も欠かせません。そのため、空き家の賃貸は各専門家に相談しながら進めていくと良いでしょう。

髙野不動産コンサルティングでは、賃貸不動産経営管理士など空き家賃貸の専門家が活用のアドバイスを行っております。空き家の活用をお考えの方は、お気軽に髙野不動産コンサルティングまでご相談ください。

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高野 友樹(不動産コンサルタント)

株式会社 高野不動産コンサルティング 代表取締役 / 株式会社アーキバンク 取締役 COO / 不動産会社にて600件以上の仲介、6,000戸の収益物件管理を経験した後、物流施設に特化したファンドのAM事業部マネージャーとして従事。 現在は(株)高野不動産コンサルティングを設立し、投資家や事業法人に対しての不動産コンサルティングを行う。 / 保有資格 ・公認 不動産コンサルティングマスター ・相続対策専門士 ・宅地建物取引士 ・賃貸不動産経営管理士 など