賃貸管理会社の対応が悪い。管理会社変更や改善を求める方法は?

アパートやマンションを経営されている方の中には、賃貸管理会社に管理を委託しているケースも多いのではないでしょうか。賃貸管理会社は、お部屋が空室になった際の入居付けの場面や、建物を維持していく上で非常に重要な存在です。賃貸管理会社がしっかりと業務を行わないと、賃貸経営自体がうまくいかなくなってしまいます。しかし、賃貸管理会社の対応が悪く頭を悩まされている方も少なくありません。

そこで今回の記事では、賃貸管理会社の対応や業務の質に困っている方に向けて、対策や管理会社変更について不動産コンサルタントが解説していきます。

1、賃貸管理会社の対応が悪い。管理会社変更や対策をとろう

賃貸経営をしていく上で、管理会社の業務は非常に重要です。賃貸管理会社は、入居付や、更新・解約業務、原状回復時のリフォームなど、賃貸経営の根幹の業務を担っている存在です。そのため、もしも賃貸管理会社の対応が悪く、業務が滞るようなことがあれば、賃貸経営自体を続けることすら難しくなってしまいます。早急に是正を求めたり、場合によっては、管理会社の変更も検討する必要があるでしょう。

(1)考えられる管理会社への不満。対応の悪さの例

賃貸管理会社の主な業務は、空室時の入居募集や、成約になった際の契約手続きなどです。入居中の入居者対応や家賃集金なども重要な仕事といえるでしょう。具体的に管理会社の対応に不満を持つのはどのようなときでしょうか。下記にまとめてみました。

  • 入居者が全然きまらない
  • そもそも募集に力を入れていない
  • 送金明細に間違いがある
  • 原状回復工事費用が高い
  • 退去者が頻繁に出て入居率が安定しない
  • 報告が遅い、もしくはない
  • 大規模修繕や設備の知識がないため提案されない など

上記の何れかに当てはまる不満を持っている方は、本記事を参考にして対応策を講じたり、管理会社変更を検討する必要があるでしょう。

(2)担当者に改善を求める

賃貸管理会社の対応が悪いと感じた際、まず最初に行うべきは担当者への改善依頼です。もちろん、最初から会社の代表者や役員に相談することも可能ですが、あまり得策ではありません。なぜなら、代表者や役員にクレームが入ると、担当者は叱られ評価が下がる可能性があります。担当者も人間ですから、いい気はしません。もしも担当者との信頼関係が崩れてしまうと、ご自分の物件を後回しにされたり、素晴らしい新サービスが出ても教えてもらえなくなることもあります。

まずは、気持ちをおさえて担当者に改善要求をするのが得です。どの点について不満があるかを具体的にまとめて、できればメールなどではなく直接会って伝えると効果があるでしょう。

(3)管理会社の代表者や役員に話をする

担当者に改善要求をしたものの、一向に改善されない場合もあります。そうなったら、賃貸管理会社の代表者や役員に状況を伝えて改善を依頼しましょう。担当者との信頼関係も大切ですが、物件の入居付けや更新、解約業務に支障が出ては本末転倒です。担当者に伝えても無駄だと思ったら、会社の経営陣に状況を伝え、改善を要求しましょう。

この場合も、やはり電話やメールではなく、直接会社を訪問し対面して訴えた方が、より事態の重要性が伝わり効果的です。

(4)管理会社を変更する

通常、賃貸管理会社の代表や役員に是正を要求すれば、何かしらの改善は見られるものです。しかし、中にはそこまでしても一向に改善されないこともあるでしょう。会社自体の方針や、体制自体に問題がある場合です。残念ながら、オーナーのことを第一に考えていない賃貸管理会社も少なからず存在するため、代表者や役員に伝えても平行線の場合は、思い切って管理会社の変更を視野に入れていきましょう。言い方は悪いですが、オーナーや入居者のことを一番に考えられない管理会社は、遅かれ早かれ淘汰されていきます。沈みかけた船に乗っていても仕方がありません。サービスの質のいい管理会社に変更するべきです。

2、そもそも管理会社の仕事とは?

そもそも管理会社の業務とはどのようなものでしょうか。入居中の入居者対応や家賃集金、更新手続きなどがメインの仕事です。解約時は、入居者とトラブルがないよう解約精算を行い、原状回復工事を行い再募集に備えます。このような仕事も全て管理会社の仕事内容で、どの業務も非常に重要で、一つでも漏れがあると、入居者からのクレームになったり、退去される可能性すらあります。

ここでは管理会社が行っている業務内容を解説します。管理を委託している管理会社がしっかりと業務を行っているか確認してみましょう。

(1)入居率向上(入居付)

管理会社として最も重要な業務が入居率の向上です。空室を募集して成約にすることを、「入居付け」や「客付け」または「リーシング」などと呼びます。賃貸経営は入居者あってこそです。ですから、管理会社は入居者を募集し空室をなくすことが最大の責務といえるでしょう。

募集方法としては、自社のホームページや、ポータルサイトなどのインターネットを用いて広く募集するのが一般的です。また、現地に入居者募集の旗を掲げたり、チラシをポスティングするなどの方法を採用している会社もあります。ポータルサイト各社も集客に力を入れているため、サイト経由の反響も非常に多くなっています。もしも掲載費削減のため一切広告を出してない管理会社があったら、客付けへの意識が低く要注意といえるでしょう。

(2)入居者対応(クレーム、相談)

入居中は入居者から様々な連絡が入ります。設備の不具合や共用部分の照明切れなど細かいものを挙げるときりがありません。また、家賃や契約条件についての相談がくることもあります。さらに、オートロックや防犯カメラの導入など、新しい設備の設置要求が入ることもあります。管理会社は、このような入居者からの相談の受付業務も行います。一見手間のかかる業務に感じますが、入居者からの対応にしっかり対応することで、入居者満足度が上がり、退去率が減少します。

そのため、入居者に対して真摯に対応している賃貸管理会社が望ましく、できれば、入居者専用窓口や24時間緊急サポートコールセンターと連携している管理会社などが最適でしょう。

(3)家賃集金、送金、督促

毎月の家賃を集金してオーナーに送金するのも管理会社の業務です。賃貸経営をしている方の多くは、入居者からの家賃で銀行からの借り入れをしている場合が多く、この家賃集金が滞ると銀行へ返済ができず死活問題です。中には、家賃を滞納する入居者もいますが、そのような入居者にしっかり定期的に督促を行っているかどうかも非常に重要です。管理会社からの送金明細を確認して、毎月すべての入居者から家賃が入金されているか、遅れている入居者はいないかをチェックしましょう。もちろん、送金明細を送ってこない管理会社は問題外です。

(4)更新や解約業務

一般的にアパートやマンションの契約は2年間となっています。そのため、2年に1度更新が発生します。体制が整っていない管理会社だと、更新者の管理がしきれずに、手続き漏れが出ているケースがあります。

解約については、管理担当者が立会いの上、部屋の引き渡しを受けます。その際、部屋の中で破損している箇所や汚れている箇所があった場合に、入居当時からあったものか、新たにつけてしまったものかが争点となります。入居者とトラブルを防ぎながら、それらを確認するのも管理会社の重要な業務内容です。

解約精算が完了したら、新たな入居者募集のために、原状回復工事を行います。通常、賃貸管理会社は内装業者や設備業者と連携しているため、管理会社が工事全体の見積りを作成することが多いです。

(5)建物維持管理

アパートやマンションなどを所有していると、税金以外にも、建物を維持するためのコストがかかります。10年から15年のスパンで、屋上の防水工事や、外壁の塗装工事などを行う必要があります。また、エレベーターがある物件であれば、長期的に見れば交換する必要もあります。さらに、法律で定められている消防点検や、浄化槽、貯水槽の点検、交換など、意外と費用がかかります。

これらの工事や設備交換は数百万円から数千万円かかることもあるため、あらかじめ予測して計画を立てることも非常に重要です。これらの提案についても、管理会社の業務内容であるため、適切なタイミングで所有者に提案する必要があります。

(6)オーナー(所有者)への報告

賃貸経営をしていると、あらゆることが起きます。予期せぬことが起きたときに、オーナーに報告し、相談するのも管理会社の役目です。建物の破損や設備の故障など、放っておくと入居者が危険にさらされ事故につながるケースもあります。また、設備の故障は入居者満足度に影響を及ぼすため、退去者が発生するリスクもあります。何かあった際は、管理会社の中だけで自己解決するのではなく、細かなことでも所有者へ報告し対策を考えるのも管理会社の大切な業務といえるでしょう。

3、管理会社変更の流れ

実際に賃貸管理会社を変更しようと思ったら、どのような流れで進めていけばいいのでしょうか。管理会社の変更は入居者へ負担をかけることでもあるので、スムーズに遂行するのが重要です。ここでは、賃貸管理会社を変更する流れを解説していきます。

(1)賃貸管理会社をピックアップしよう

まずは、管理会社をピックアップすることからスタートです。管理会社には、専業で管理だけやっている会社から、不動産会社の一つの事業内容として管理をやっているところまで様々です。また、地域密着型の地場の管理会社から、大手企業が運営している会社まであります。

まずは、該当する物件の近くにある管理会社や、その地域で知名度の高い管理会社などを複数ピックアップします。最寄駅付近や高速道路出口付近などで広告看板を掲げている会社も候補に挙げてみましょう。管理会社によって、得意不得意や方針も様々ですので、まずは複数ピックアップしてみることをお勧めします。

(2)管理会社を訪問し相談する

複数の管理会社をピックアップしインターネットなどでチェックしたら、実際に管理会社を訪問し相談しましょう。アポなしで訪問しても対応はしてもらえますが、管理担当者が休みや外出で不在としている場合もありますので、事前にアポイントを取ってから訪問する方が賢明でしょう。訪問時は、管理会社の中でも管理部門の担当者と、客付け(リーシング)部門の担当者2名と面談しましょう。さらに、部門長、役員、社長など、会社を取りまとめている役職の人間とも挨拶できると尚良いでしょう。

(3)管理料や契約内容をチェック

管理の業務内容や管理料についての確認を行います。できれば、管理契約書の雛形(サンプル)を見せてもらいましょう。管理料は一般的には3~5%ですが、それ以上に設定している会社もあります。また、細かいですが、管理料は税込なのか税別なのかも確認しましょう。

業務内容については、後々「これは業務範囲だと思ったのに違った」という認識の食い違いが発生しないように、紙面を用いながら口頭で説明を受けることをお勧めします。また、家賃集金日や送金日時(振込手数料の負担区分も)についても事前に確認をしましょう。

(4)管理契約締結

管理を任せたい管理会社が決まり、契約内容を理解したら管理委託契約の締結です。管理委託契約書は通常管理会社が作成します。実印でなくても大丈夫ですが、シャチハタはNGな会社が多いです。認印などを用意しておくと良いでしょう。

契約書への捺印の前にも今一度、雛形と条文が相違ないか、物件の表示など間違いがないかをよく確認しておきましょう。契約書への署名捺印が終わったら、オーナーと賃貸管理会社でそれぞれ一部ずつ保管します。

4、管理会社を選ぶ上で重要なポイント

数ある管理会社の中から、どのように選定すればいいのか分からない方も多いのではないでしょうか。ここでは、管理会社を選定する上で重要なポイントを解説します。この記事を参考にしていただき、管理会社の選定にお役立てください。

(1)集客に力を入れているか

管理会社の重要任務は入居付け(リーシング)ですので、入居者を募集する機能が整っているかを確認します。具体的には下記の内容を確認してください。

  • 自社のサイトで物件募集しているか
  • ポータルサイトを活用しているか(suumoなど)
  • 地元の企業や学校などと連携しているか
  • 空室のある物件には「入居者募集」の旗や看板を設置しているか
  • 入居募集を行う専門のスタッフ常駐しているか

(2)店舗は入居者向けになっているか

今の時代のメインの集客ツールはインターネットです。とはいえ、物件を探している方の中には、飛び込みで店舗に来店して相談するケースもまだまだ多いです。さらに、一度目の内見後に再来店して店舗で物件を紹介してもらうこともあります。そのため、不動産会社の店舗が入居者に配慮されているかどうかもチェックが必要です。清潔感や整理整頓はもちろんですが、季節の飾り付けやPOPなど、入居者から好感を持ってもらえる店舗かどうかも重要です。

また、物件資料などが常に最新の状態になっているかも確認したいところです。業務に対して怠慢な管理会社は物件資料が随分古いものままになっているケースなどもあります。

(3)管理部は独立しているか

賃貸管理業務は片手間でできるものではありません。しかし、不動産会社が不動産取引の延長で賃貸管理を行っているケースもあります。このような場合は、管理業務まで手が回らず入居者対応の質が低下したり、客付(リーシング)が弱かったりすることがあります。管理委託契約を結ぶ前に、その会社の組織図を確認するなどして、賃貸管理部門が独立し機能しているかをチェックしましょう。会社により部署の名前はそれぞれですが、一般的には「賃貸管理部」や「プロパティマネージメント事業部(PM)」といった名称がつけられていることが多いです。

(4)建物や設備の専門スタッフは社内にいるか

入居率とならんで賃貸管理で重要なのは、建物維持管理です。マンションやアパートは定期的に修繕やメンテナンスをする必要があります。特に、外壁塗装や屋上防水、エレベータなどの設備関係については、多額の資金が必要となります。そのため、建築や設備に精通しているスタッフが管理部門に在籍しているかも確認が必要です。建築士や設備関係の資格保有者が在籍しているかどうか、また各スタッフの経験についても確認しておくと安心です。

(5)士業や専門家との連携は取れているか

賃貸経営を営んでいると、入居者、近隣住民とのトラブルや、税金対策など、不動産以外の知識が必要となります。当然ですが、不動産会社が全てのジャンルに精通しているわけではありません。そのため、賃貸管理会社は各専門家とのネットワークを構築して、何かあった際に備えているのが一般的です。各専門家との連携が強い管理会社であれば、いざトラブルが発生した際に、その道の専門家の士業などを紹介してもらうことができます。

しかし、まだ開業して日が浅い管理会社などは、十分なネットワークを構築できていない場合もあるので注意が必要です。できれば、相談の際に、どのようなジャンルの士業や専門家と連携しているのかを事前に確認しておくと安心です。

(6)賃貸住宅管理業者登録は済んでいるか

賃貸管理業は免許がなくても営むことができます。しかし、平成23年に国土交通省の管轄のもと「賃貸住宅管理業者登録制度」ができました。これは、借主と貸主の利益保護のために、国土交通省が一定の基準を設け、基準をクリアした法人または個人のみが賃貸住宅管理業者として登録できるようしたものです。登録には、賃貸不動産経営管理士という資格者などの設置義務や管理戸数の報告義務などが課されてます。登録は任意ですが、登録している業者に関しては、賃貸管理業における一定の質が担保されているといえるでしょう。

賃貸住宅管理業者に登録されているかどうかは下記のサイトで確認できます。管理の依頼を検討している会社が登録されているかどうかを一度確認してみるのも良いでしょう。

https://etsuran.mlit.go.jp/TAKKEN/chintaiKensaku.do?outPutKbn=1

リンク先:国土交通省「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」

(7)管理会社の選定には不動産コンサルタントを利用しよう

管理会社に問題があると、賃貸経営に直接悪影響が出てしまいます。そのため、管理会社の選定は慎重に行いたいものです。とはいえ、どのようなところに注意して管理会社を選定すればいいのか分からない方も多いのではないでしょうか。

そのような際は、お近くの不動産コンサルタントへのご相談をお勧めします。不動産コンサルタントは中立的な立場から、物件ごとに最適な管理会社を提案します。また、管理会社の選定だけではなく、管理委託契約書のチェックや契約立会いなども行います。

当事務所でも、管理会社の選定サポートを行っています。管理会社の選定にお困りの方は、高野不動産コンサルティング事務所をご活用ください。全国対応、初回相談、お見積りは無料で承っています。

当事務所へのご相談はこちらから

まとめ

今回の記事では、賃貸管理会社の対応が悪いことにお悩みの方向けに対応策や管理会社変更について記載していきました。管理会社はオーナーに代わって賃貸管理の実務を行う重要な存在です。管理会社の良し悪しが、そのまま賃貸経営の結果につながるとも言えます。そのような大事な存在の管理会社の選定は、特に慎重に行うべきです。

対応の悪い管理会社への対応や、管理会社の選定は、高野不動産コンサルティング事務所にご相談ください。管理会社変更の実績豊富な不動産コンサルタントが、中立的な立場から管理委託契約締結までをサポートしていきます。

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高野 友樹(不動産コンサルタント)

株式会社 高野不動産コンサルティング 代表取締役 / 株式会社アーキバンク 取締役 COO / 不動産会社にて600件以上の仲介、6,000戸の収益物件管理を経験した後、物流施設に特化したファンドのAM事業部マネージャーとして従事。 現在は(株)高野不動産コンサルティングを設立し、投資家や事業法人に対しての不動産コンサルティングを行う。 / 保有資格 ・公認 不動産コンサルティングマスター ・相続対策専門士 ・宅地建物取引士 ・賃貸不動産経営管理士 など