マンションやアパートを所有している人にとって、最大の悩みは空室問題ではないでしょうか。人口減少が問題視される現代において、賃貸物件の空室は、もはや地方エリアだけの問題ではありません。入居者が決まらないと、部屋は空室となり賃料収入を得ることができません。賃貸経営において賃料は最大の収入源であり、欠かすことはできません。そのため、空室対策は非常に重要です。
今回の記事では、アパートやマンションの空室に頭を抱えている人に向けて、すぐに使える空室対策を不動産コンサルタントが解説していきます。
目次
1、アパート経営において効果のある空室対策は?
アパート経営において、空室が増えてしまうことは致命的といえます。できれば常時満室状態をキープするのがベストですが、賃貸経営には入退去がつきものなので、そう簡単にはいきません。満室になって安心したのも束の間で、すぐに退去者が出て落ち着く暇のない人も多いのではないでしょうか。実際のところ、常時満室にするためにはどのような空室対策を行えば良いのでしょうか。
ここでは、空室対策で実際に効果がある方法に絞って解説していきます。
(1)適正な家賃に設定し直す
空室対策において最も効果的なのは、募集家賃を適正金額に設定し直すことです。たとえば、同じ築年数やグレードのアパートが複数あった場合、当然ですが入居者は賃料の安いアパートを選びます。しかし、多くの大家さんが、近隣のアパートやマンション、つまり競合となる物件の家賃を把握していないのが現状です。まずは、競合物件の家賃をリサーチして、自分の物件が適正な家賃で募集できているかを調べます。そのうえで、家賃が割高であれば適正金額に設定し直すことで、入居者からの反響は増えて成約数は改善されます。
経験がないと競合物件のリサーチ方法が分からず難しいかもしれませが、多くの場合、家賃を適正額に設定し直すだけで空室が改善されるので、是非試してみてください。
(2)入居者の負担となる初期費用を見直そう
入居者は物件を探す際、毎月々の家賃以外にも、最初にかかる初期費用についても重要視してます。引越しには、引っ越し会社への費用、新調する家具や家電の代金など様々な費用が発生するため、少しでも初期費用を抑えたいと考えているからです。
重要なのは、「物件はすごく気に入ったけど、初期費用が高いからやめよう…。」と入居者に思われないことです。保証会社への保証料、火災保険料、仲介手数料など、数万円から数十万円程度かかる費用については、一部を大家さんが負担するなどの配慮を行うと、申し込みの確率がアップするでしょう。
このような取り組みは、空室対策になるばかりでなく、入居者からの印象も良くなり感謝されます。
(3)管理会社や不動産会社に更に頑張ってもらう
多くの場合、大家さんは管理会社や不動産会社に客付の業務を依頼しています。実際に入居者を部屋に案内するのは、大家さんではなく、管理会社などです。そのため、いくら良い条件に設定しても、管理会社や不動産会社にやる気がないと、力を入れて営業してもらえないので空室が埋まりません。
管理会社や不動産会社に頑張ってもらう方法は複数ありますが、一番効果が出やすいのは不動産会社への報酬を増やすことです。同じ条件の物件であれば、成約時に報酬が多いの方の物件に力を入れるが不動産会社の営業マンです。
(4)リフォーム・リノベーションを実施する
築年数の経過している物件は、リフォームやリノベーション工事を実施するのも効果的です。竣工から10年、15年と経過してくると、設備や仕様が周囲の築年数の浅い物件よりも古くなってしまいます。大掛かりな間取り変更や水回りなどを行わなくても、和室から洋室に変更するなどの工夫であれば、低コストながら空室対策として十分な効果を期待できます。
ただし、どのような工事を行うのが物件にとって最も効果があるかは、近隣をマーケティングしないと判断できません。工事実施の前に、近隣物件の調査や、入居者のトレンドについて、必ず管理会社や不動産コンサルタントに依頼して確認しましょう。
2、そもそも、どうして空室が発生してしまうのか?
空室の発生には、必ず理由があります。そのため、理由をはっきり判明させないなかで対策をとってしまうと、期待通りの効果が得られずコストばかり発生します。空室の多さに悩みを抱えている人は、まずはご自身の物件の空室原因を見つけ出しましょう。
空室原因の見つけ方は様々です。ここでは空室の主な理由をご紹介していきます。
(1)相場と比較して家賃が高い
まず初めに挙げられる原因は、近隣相場と比較して家賃が高いということです。入居者が物件を探す際は、多くのケースでインターネットを利用します。部屋探しのポータルサイトなどは、最初の検索画面で家賃帯を絞り込むことが一般的です。そのため、同等の築年数や仕様の物件があった場合、家賃帯が割高になってしまうと、入居者から検索すらされない状況に陥ります。
(2)契約期間中の入居者満足度が低い
入居が決まらないことと同様に問題なのが、退去者が増えてしまうことです。入居者が決まってもすぐに退去してしまい、稼働率は安定しません。退去者が増える多くの理由は、契約中の入居者満足度が低くなっていることです。なかでも、入居者が求める修繕や設備設置に大家さんが応じてくれないと、すぐに退去されてしまいます。入居者満足度を上げる方法は、当然ですが、最低限の対応を確実に行うことです。入居者の相談窓口である管理会社が、誠実な対応をしているかも大家さんはチェックする必要があります。
(3)設備や仕様が今時のトレンドを掴んでいない
建物は竣工と同時に、年々老朽化していきます。もちろん、新築から10年、15年と経過すると、室内備え付けの設備や部屋の仕様も古くなってきます。新築や新しい物件を好んで探している入居者もいますので、定期的に室内の設備を最近のトレンドの製品に入れ替えるなどの取り組みがオススメです。また、最近は宅配ボックスなどの無人配達設備なども非常に人気がありますので、入居者の最新トレンドを押さえておく必要があります。
(4)不動産会社の客付力に問題がある
募集条件も適切でトレンドに沿った設備を導入しているのに、なかなか入居が決まらない場合は、不動産会社の客付力に問題がある可能性が高いです。空室対策における客付業務は、募集から案内、クロージングという流れで進んでいきます。さらに細分化することはできますが、大きく分けるとこの3段階といえるでしょう。募集に力を入れていない、営業マンの教育ができていない、などの傾向がある不動産会社だと、物件がどれほど良くても決まりません。
問題がある不動産会社の特徴については、こちらの記事で記載しています。
3、アパートの空室対策は専門家に相談しよう
アパートの空室には、物件ごとに様々な理由が存在します。そのため、空室対策を行うには、まずは空室原因を解明することが大切です。そして、空室原因を解消するため対応策を実施し、実行する必要があります。
しかし、空室の原因を突き止めるのは簡単ではありません。空室が多く早急に空室対策が必要な方は、専門家に相談するのも得策です。ここでは空室対策として有効な相談先を紹介します。
(1)アパートの管理会社に相談する
アパートの空室対策の相談先として考えられるのが、管理を委託している管理会社です。管理会社は管理物件の強みや弱みを把握しているため、どのような対策をとると効果的か経験則から知っています。
とはいえ、すでに管理会社に依頼しているのに空室がある場合は、その管理会社では対応できるレベルではない可能性もありますので、その際は他の相談先も検討しましょう。
(2)管理会社以外の仲介会社に営業をかける
管理会社の客付力が弱い場合などは、大家さん自ら他の不動産仲介会社へ営業依頼をかける方法があります。客付力は会社によって大きく異なります。インターネット集客や、その他独自の方法で集客できている会社に募集業務を任せると、空室が埋まりやすくなります。しかし、ありきたりな営業方法しかしていない会社だと効果は見込めません。仲介会社の営業方法を事前に確認しておきましょう。
自ら仲介会社を探して依頼する際は、管理会社への連絡も忘れてはいけません。管理会社に伝えておかないと、同部屋に複数申し込みが入るなど、トラブルの元になるからです。
(3)不動産コンサルティング会社に相談する
空室対策の実施として最もおすすめなのは、中立的な立場である不動産コンサルティング会社への相談です。不動産コンサルティング会社は仲介を目的しておらず、空室対策に特化して具体的な対策案を提案できます。ときには、管理会社変更を提案することもあれば、リフォーム提案をすることもあります。
その物件の空室原因を追求し、もっとも効果的な空室対策案を提案するのが仕事です。アパートの空室に悩みがあり、中立的な立場からの専門的なアドバイスを受けたい方は、不動産コンサルティング会社へのご相談がおすすめです。
まとめ
今回はアパートの空室対策について解説していきました。賃貸経営では入居者からの家賃が大事な収入源です。空室が増えると、経営が安定せず、事業として成り立たなくなるリスクがあります。今後は人口減少の影響により、地方だけでなく都心部においても空室対策が必須となるでしょう。
空室にお悩みの方は、早めに空室対策の専門家に相談することをお勧めします。髙野不動産コンサルティングでは、オーナー様一人一人の合った適切な空室対策案をご提案しています。お気軽にご相談ください。
髙野不動産コンサルティングへのご相談はこちらから承ります。
高野 友樹(不動産コンサルタント)
最新記事 by 高野 友樹(不動産コンサルタント) (全て見る)
- 初心者向け不動産投資の基礎知識とメリット・リスク - 2024年9月14日
- 【賢い資産運用】不動産投資を活用した節税の手法 - 2024年5月11日
- 不動産投資でマイナス収支にならないための基礎知識 - 2023年11月11日