【保存版】大家さん必見!アパートの空室が多いときの対処法を解説します!

アパートを保有しているものの、築年数が古くて入居が決まりにくい。さらに修繕費用も増している。アパート所有者の中には、このような悩みを抱えている人も少なくありません。そんなときは、どのような対策をとるのがベストなのでしょうか?

この記事では、アパートの空室で悩む大家さんを対象に、空室時に実施できる方法を賃貸不動産経営管理士が詳しく解説していきます。

1、アパートの空室が多くなる理由

アパートの大家さん、と一口に言っても実情は様々で、満室経営で順調に運営している人もいれば、空室が多くて問題も山積み、という大家さんもいます。

これまで筆者は賃貸不動産経営管理士として300人以上の大家さんから空室相談を受けてきました。その結果、空室の原因は大きく分けて「賃料」か「物件」の2つに分類されることが分かりました。まずは空室の原因を知り、ご自身の物件に該当しないかチェックしてみましょう。

(1)賃料に原因がある場合

賃料が相場とかけ離れている物件には入居者は入りません。空室の多くは賃料が割高であるケースが多いです。適正な賃料の設定をするには、管理会社に相談するのが一番ですが、管理会社の家賃査定も適切でない場合が多々あります。築年数や間取り、設備といった情報だけで簡単に査定を済ませてしまう管理会社もありますので注意してください。

アパートは一棟一棟、そして一部屋一部屋同じものはありません。同じ建物の同じ階数の部屋でも、部屋が異なれば家賃も異なるものです。いい加減な賃料査定をしていると、空室はいつまで経っても埋まりません。

現在の管理会社の賃料査定に疑問がある方は、複数の不動産会社に賃料査定を依頼することをお勧めします。

それから、礼金や敷金等の契約一時金についても相場と足並みを揃える必要があります。よほど好立地で希少価値のある物件でない限りは、敷金や礼金は1ヶ月、もしくはゼロにするのが賃貸市場の相場といえます。

(2)物件に問題がある場合

2つ目の空室原因として、物件(建物)自体に問題があるケースがあります。物件とは、建物本体と室内に分けて考えてください。

建物の原因で多いのは、築年数の経過したアパートで外観が古くイメージが悪くて入居者が入らないケースです。また、共同廊下の電球が切れている、蜘蛛の巣や落ち葉がそのままになっている等があると、適切な管理がされていないアパートという印象が根付いてしまい、やはり敬遠されがちです。

入居者は内見時に、実際にそこに住んでいる自分をイメージします。毎日自分が帰ってくる場所が、古く汚れていて、管理がされていないアパートだとどうでしょうか?そこに友達や恋人を呼びたいと思うのでしょうか?入居者の立場にたつと、物件の外見も非常に重要ということが分かります。

また、建物の外側でなく、内部、つまり室内に問題があるケースもあります。例えば、室内の設備が古い、間取りが昔のトレンドのままになっていて今の流行ではないということもあります。

2、空室への対処法その1「入居者を増やす!」

アパートの空室が多いときは、まずは入居者をどうやったら増やせるのかを考えます。

まだ入居者を増やすための具体的な対策を行なっていない人は、下記で紹介するような少しの改善で、驚くほど入居率が改善されることがあります。

(1)賃料を見直して再募集しよう

なかなか入居者が入らず空室が多いアパートは、家賃設定が適正でないケースが多いです。どれほど物件が魅力的でも、家賃が相場とかけ離れていると、残念ながら入居者は入りません。それどころか、割高物件として敬遠されてしまいます。不動産会社からしても、家賃が高すぎる物件は契約になりにくいので、物件を案内しても無駄足になる可能性が高く、集客に力を入れてもらえなくなります。

まずは賃料が適正かどうかを今一度見直してみて、相場と比べて高いと判断できたら、適正賃料に改定して再募集をかけてみましょう。

賃料が適正かどうか?という判断をするには、管理会社へ賃料査定を依頼してみましょう。そのとき、口頭で「〇〇円くらいだと思います」という対応をする管理会社はあまり信用できません。査定書を作り、根拠とともに書面で説明できる管理会社がベストです。

なお、弊社でも賃料査定を受けておりますので、賃貸市場調査や査定をご希望の方は下記からお問い合わせください。

賃貸市場調査、賃料査定はこちらから

(2)設備を入れ替えて入居者を増やす

アパートの空室が多くなる原因として、設備の老朽化があります。アパートの主な設備としては以下のものがあります。

・給湯、風呂釜

・エアコン

・浴室設備

・洗面化粧台

・キッチン

・トイレ

この中で、比較的簡単に交換できて、入居者受けがいいのは、トイレやエアコンです、トイレは温水洗浄便座に交換することで世代を問わず喜ばれるだけでなく、中には温水洗浄便座がない物件には入居しないという人もいるくらいなので効果は明確です。

エアコンは大体10年程度を目安に交換すると良いでしょう。エアコンが古いと電気代が高くなるイメージもあり、やはり入居者受けが悪くなる原因となります。

その他システムキッチンやユニットバスの入れ替え等は、行うことで当然入居者イメージは上がりますが、温水洗浄便座やエアコンと比べるとコストが高くなります。システムキッチンは、安いもので30万円程度から、ユニットバス交換は、最低でも50万円以上は必要でしょう。1坪タイプのユニットバスでそれなりに良いものだと、100万円以上することもあります。

設備交換に資金をかけられないという人は、まずは温水洗浄便座やエアコンの交換を検討してみると良いでしょう。

(3)リフォームして入居者受けをよくする

築年数が古くてアパートの空室が多い場合は、室内のリフォームをすることで空室を減らすことができます。

リフォームには、大掛かりなものと小規模なものがあります。たとえば設備交換もリフォームの一種ですし、壁紙・クロスを変えることもリフォームです。どのようなリフォームを実施するのが最も効果的かは物件ごとに異なります。全体を通して言えることは、「あまり尖った仕様にしない」ということです。たとえば、カラフルな花柄の壁紙は一見目立ちますが、入居者の属性を限定してしまいますよね。大学の至近距離にあるアパートといった、入居者の属性をピンポイントで指定できる物件以外は、尖った演出は控えるべきで、清潔感のある当たり障りない仕様にするべきでしょう。

また、古い物件で間取りが最近の流行と異なる場合は、間取り変更のリフォームをするのもお勧めです。たとえば2DKの物件を1LDKに変更することで、リビングを広めに使いたい単身者の方からも選ばれる物件にすることができます。

(4)外壁を塗装してイメージアップする

「アパートが古くて外観がちょっと…」という場合は、外壁塗装等をすることで建物を綺麗にできるので、予算に余裕がある方は実施しましょう。アパートの外壁塗装は、費用的に決して安くありませんので、実施することで本当に効果が得られるのか十分検討する必要があります。

外壁塗装の費用は、一般的な2階建てのアパートで200~300万円以上かかります。建物が大きくなると施工する面が増えるので、その分費用も増えます。また塗装の種類によっても費用は変わります。安いシリコン塗料等を使用すれば平米あたり3,000円前後で済みますが、汚れに強いフッ素塗料等になると耐用年数も増える分、費用も平米あたり4,000円前後となり、費用面の負担も上がります。

(5)管理会社を変更しよう(最後の手段)

アパートの空室が多い原因が、物件や賃料ではなく管理会社にある場合があります。管理会社が入居募集業務に力を入れていないケース等です。実際に管理会社にも色々な種類がいて、入居者募集に特化した会社、建物管理に特化した会社等様々です。

「管理会社に任せているから大丈夫」と思い込んでしまっている大家さんも意外と多いです。依頼している管理会社が何に強みを持っていて、入居募集には何人体制で取り組んでいるのかも知らない大家さんもいるのです。

最低限、依頼している管理会社の管理戸数、入居率、管理部門の人数くらいは知っておかないといけません。

自分が依頼している管理会社が、入居募集にどれほど注力しているのかを確認し、納得できない場合は管理会社へ相談して改善を求めましょう。それでも管理会社の対応が変わらない場合は、管理会社を変更するという手段も念頭に入れておいてください。

私も長く大家さんからの空室相談を受けていますが、管理会社を変えてもらったところ、あっさり満室になったという方は意外と少なくありません。

具体的な管理会社への相談方法や、管理会社を変更する場合については、下記の記事をご参照ください。

3、空室への対処法その2「物件を売却する!」

空室の多いアパートは収入が少なく支出が多いという、事業経営として非常に危険な状態です。リフォーム等の実施で空室が改善されることは前述しましたが、そのためには費用がかかるのも現実です。

そもそもアパート経営にかけるお金がないという方もいるでしょう。そのような方は無理やり投資して空室を埋めるよりは、売却を検討するのも得策です。ここではアパートを売却することのメリット・デメリット、売却方法について解説していきます。

(1)アパートを売却するメリット、デメリット

アパートを売却するメリットは、やはり現金が手元に入ることが一番です。また、アパートがなくなることで、修繕費や火災保険料、固定資産税等の経費を支払う必要がなくなります。また、アパートの空室がストレスになっていた方は、アパートの処分により悩ましい問題から解放されて、精神的負担がなくなる点もメリットです。

一方デメリットは、収入が減ってしまう点です。アパート経営をしていると、余程の大赤字でない限りは、たとえ空室が多くても定期的な収入は入ります。その収入がなくなるのは最大のデメリットといえるでしょう。

また、アパートの売却には費用も発生します。たとえば、不動産譲渡所得税という税金や、不動産会社への仲介手数料の支払い等があります。ただし、基本的には、売却時に発生する費用は売買代金から支払うことになりますので、通常は支出の心配は必要ありません。

(2)不動産会社にアパートの買取を依頼する

アパートを売却する方法として、不動産会社へ売却するというものがあります。いわゆる不動産会社の買取サービスがこれに該当しますね。メリットは、なんといっても「早い」「楽」この2点です。早さに関しては、不動産会社は不動産を何件も買取してますので、決済(売却してお金が入るタイミング)までが、とにかくスムーズです。そして、楽なのは、買取業者が手続きの多くをやってくれるので、所有者の手間が最小限で済むことです。

一方デメリットもあります。デメリットは、一般の買主に売却するよりも価格が下がってしまうことです。というのも、不動産会社は物件を買い取り後保有することは稀で、ほとんどが一般の投資家へアパートを再販します。再販することで利益を出しているので買い取り価格は抑えないといけないのです。

「高く売りたい!」という方は、買取業者への売却は見送るべきです。

(3)不動産会社にアパートの売却を依頼する(仲介)

「時間はかかってもいいけど、アパートを少しでも高く売りたい」という人は、買取業者に頼らずに一般の買主への売却を選択しましょう。とはいえ、不動産業界以外の人が、自分だけの力で物件を売却するのは非常に困難ですから、仲介業務をしている不動産会社へ依頼することになります。

仲介をお願いする不動産会社と結ぶ契約は「媒介契約」というもので、「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」という3種類が存在します。

それぞれの契約については、下記の記事で詳しく解説していますので、ご自分に合った契約内容を選択してください。

(4)空室が多いアパートは売れないの?

よく弊社のお客様から「空室が多いと、アパートは売れないの?」と質問されることがあります。結論から言うと、そんなことはありません。空室が多い物件でも市場で取引されていますし、それどころか、全部屋空室(全空といいます)のアパートでも売却自体問題なく可能です。

とはいえ、高く売るためにはアパートの入居率が高い方が良いのは間違いありません。なぜなら、アパートを買うのは不動産投資家ですので、入居率が低い物件は敬遠される傾向にあるからです。空室が多いアパートを高く売るには、売却する前にアパートの入居者を増やしておく必要があります。

4、空室への対処法その3「アパートを建て替える!」

アパートの空室が多くて困っているが、手放すまではしたくない、という人もいます。その土地に思い入れがある場合や、親から相続したアパートだから売却するのは心苦しい、というケースもあるでしょう。

そのような場合は、金融機関から借入をして、思い切ってアパートを建て直すという選択肢もあります。

ここでは、アパート建て替えのメリット・デメリットを解説していきます。

(1)アパートを建て替えるメリットとデメリット

アパートの建て替えは、築年が経過して空室の多いアパートにとっては効果的な手段です。

建物が新しくなることで入居者から選ばれやすい物件になり、物件が新しくなれば修繕コストも低くなります。

一方、建て替えるには多大な資金が必要です。数千万円の建設費用が発生するのが一般的ですので、建て替えが本当に適切な判断なのかよく考えて決断してください。

(2)アパートの建て替え費用

アパートの建て替え費用は、大きく分けて「解体費」「建設費」に分けられます。アパートにまだ入居者がいる場合は、退去するのを待って建て替えることになりますが、なかなか退去しない入居者がいる場合は、立ち退きを求めることになります。その際は、上記費用に立退料が加わります。

アパートの立退料は、月額家賃の6ヶ月程度が相場といわれていますが決まっているわけではありません。あくまでも入居者との相談のうえ決定するものです。そのため、アパートの入居者との話し合いがうまくいかず揉めてしまうと、立ち退きが長引いてしまったり、裁判に発展してしまうケースもあります。

また、解体費と建設費に関しては、建物構造と建物面積によっておおよそ相場があります。解体費、建築費ともに、木造よりも、鉄骨や鉄筋コンクリート造といった強固な構造になる方が高くなります。

なお、建物が崖地にある、または隣家とほとんどくっついている、といった特殊なケースの場合は、それぞれ通常料金よりも高くなる可能性もありますので、まずは一度見積りをとってみると良いでしょう。

5、アパートの空室が多いときは専門家に相談を

アパートの空室が多いと、デメリットこそありますが、メリットはほとんどありません。今回の記事で解説したように、大家さんとしては、何かしら対応をするべきです。とはいえ、空室を埋めるのか、売却するのか、建て替えるかという判断をするためには、不動産だけでなく税金・法律など様々な知識が必要となるのも事実です。

所有しているアパートを今後どうしたらいいのか判断に迷ったら、まずは一度専門家へ相談してアドバイスをもらいましょう。

(1)管理会社へ相談

多くのアパート大家さんにとって、一番身近で頼れる専門家は、アパートの管理会社です。管理会社はアパート管理のエキスパートですから、空室に対してどのような対策をするのが効果的なのかアドバイスしてくれます。

一点注意事項として、管理会社はアパートを管理するのが仕事であり、売却されると管理物件が減ってしまうため、売却を勧めないケースもあります。反対に、管理会社に売買部門があれば、売買の仕事をとるために売却を進めてくるケースもあります。

このように、管理会社の状況によってアドバイスの内容が変わってしまう可能性もあるので、「本当に自分のために言ってくれているのか?」ということを見極める必要があります。

(2)不動産の仲介、買取業者へ相談する

「自分にとってはアパートの売却がベストな選択だ!」と判断できた大家さんは、不動産売買の仲介をしている会社と買取業者へ相談してみましょう。どちらのタイプの会社もアパートの査定をしてくれるので、客観的にアパートの金額を知ることができます。

アパートの査定を依頼する際のポイントは、「複数社」に依頼するという方法です。アパートの価格は決して安いものではありません。不動産会社によっては、数百万円以上査定額に誤差が発生する場合もありますので、必ず複数社に価格査定を依頼してください。

(3)不動産コンサルティング会社へ相談

アパートの空室問題にお悩みの方は、不動産コンサルティング会社への相談もお勧めです。不動産コンサルティング会社は、売却や買取、建築を行なっているわけではないので、客観的に中立的な立場でアドバイスします。第三者の目線から、アパートの状況を冷静に分析して、大家さんの考え等を十分理解した上で、アドバイスを行います。賃貸市場やアパートの状況等を、専門家にレポートにまとめてもらうだけでも、ご自身のアパートの状況を把握できるいい機会になるでしょう。

偏った意見ではなく、大家さんの利益を重視した中立的なアドバイスを聞きたい、という方は不動産コンサルタントへ相談されることをお勧めします。

不動産コンサルタントの業務内容は下記の記事で解説していますので、ぜひ参考にしてください。また、弊社でもアパートの空室相談を受けてつけておりますので、お気軽に下記よりご相談ください。

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まとめ

アパートの空室問題は、経済的な負担だけでなく、大家さんに対して精神的な負担も与えてしまうものです。

大家さんは、空室対策か売却か、それとも建て替えるのかという判断をする必要があります。どのような手段が最適なのか判断に迷ったら、中立的な立場からアドバイスをする不動産コンサルタントへご相談ください。

弊社でも空室問題へのコンサルティングを行なっておりますので、アパートの空室問題でお悩みの方はお気軽にご相談ください。

経験豊富な不動産コンサルタントが、中立的な立場からアドバイスし、アパートの空室問題解決のサポートをさせていただきます。

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高野 友樹(不動産コンサルタント)

株式会社 高野不動産コンサルティング 代表取締役 / 株式会社アーキバンク 取締役 COO / 不動産会社にて600件以上の仲介、6,000戸の収益物件管理を経験した後、物流施設に特化したファンドのAM事業部マネージャーとして従事。 現在は(株)高野不動産コンサルティングを設立し、投資家や事業法人に対しての不動産コンサルティングを行う。 / 保有資格 ・公認 不動産コンサルティングマスター ・相続対策専門士 ・宅地建物取引士 ・賃貸不動産経営管理士 など